「女子枠」は、女子だけ優遇する不平等施策、なのか?
2023年の世界のジェンダーギャップ指数。
日本は世界125位で、過去最低。
ちなみに、2022年は、116位。
低位下落基調で、まだまだ男女の格差が埋まっていないことが浮き彫りになった。
私の出身大学は、理工系大学ということもあり、そもそも女子学生比率はとても低い。
この状況は、多様性の観点からも改善すべきであるという学長をはじめとした執行部の強い思いがあり、今年から学士入試において「女子枠」という枠を新たに設定する事が決まった。
企業で言うと、取締役選任や管理職任命にあたり女子枠を設定する、と同じような発想だ。
たまたま私は大学の経営評議委員を拝命している関係で、最初にこの話が話題になった時に、
「わざわざ女子枠を設ける意味があるのか? 女子枠を作って女性比率を上げるのは、女子学生を増やすという手段として本当に正しい手段なのだろうか?」
と、正直疑問に思った。
ただ、今の私の意見は全く逆で、
「女子枠をどんどん作って運用していくべき!」
と強く思っている。
大学のあるイベントでの意見交換会では、主に年配の先輩の方から、
「女子にだけゲタをはかせるのは、不公平だ。」
とか、もっと極端な意見では、
「女子枠を作ることで、偏差値が落ちる」
というような声まで出たことがあった。
ここで否定したいのは、
「女子枠」は、「女子にゲタをはかせる」ことではない!
ということだ。
多様性の観点で、例えば今までも、AO入試があるし、高校推薦の推薦枠というものある。
これらは、入試試験というひとつの尺度だけでなく、多面的にその人を見て評価しようという趣旨で導入されているものだ。
そして、女子枠もこのひとつで、
「多様な人の集まりがイノベーションにつながり、それが日本全体あるいは世界の科学技術の進歩に貢献する」
という信念に則って、科学に興味を持って取り組む女子を増やすことが必須であり、そのためのひとつの手段なのだ。
もちろんこの仕組みを導入することが目的ではなく、その結果当初の目論見通りになったのかどうか、その検証はされていかなくてはならない。
それはすぐに結果が出るものではないが、海外の例を見ると、多種多様な分野でのダイバーシティがプラスの効果を生み出すことは実例として多くあることも事実。
日本のジェンダーギャップ指数が、今後上昇するかどうか。
日本の社会の形が今後どのようにかわっていくのか、
それはもしかしたら日本の将来に大きく関わる重要な問題であるように感じる。