最近、「カスハラ」、について良く耳にする。
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とは、顧客が企業に対して理不尽なクレーム・言動をすること。
日本の場合、「お客様は神様」的文化が根強くあるため、「自分は客だ」という立場を振りかざして企業や店に言いがかりをつける。特に個人商店などは、面倒になることを恐れて理不尽な要求を呑むケースも多いらしい。
欧米では、企業や店側で「お客様に守っていただきたいルール」というのを明確に決めていて、「このルールを守っていただけないお客様はお客様ではない」、として断固とした対応を取る仕組みが整っているそうだ。
現場で仕事をしている人から聞いた、
実は一番厄介なお客様
とは、明らかに確信犯でカスハラをしてくる客「ではない」と言う。
一番厄介なお客様は、ちょっとした店側の非について、態度はとても丁寧なのだが、納得するまで何度も何度もクレームしてくる客。
確かに店の非であり、お客様の主張はもっともな事で、それについては店としては謝るしかないのだが、
「謝罪の気持ちを、なにか形にして見せてほしい」
と要求してくる。具体的に何がほしい、とか、どうしろ、とか自分からは決して言葉にせず、多くのこのタイプのクレームは長引く傾向にあるらしい。
「正義を振りかざした、振る舞いは紳士的だが、なかなか許してくれない客」に対して、店もその対応に相当な時間と労力と精神力を費やす。
NHKのクローズアップ現代でカスハラが取り上げられた時に、
「お客様はお互い様」
という言葉で締めくくっていた。
お客様も接客側もどちらも人間。
間違える時だってあるから、謝罪があればそれで水に流すような寛容な気持ちが、今の世の中、少なくなっているのかも。
話は変わって、マラソン好きの友人の話。
マラソン終わってテントで着替えして出てから、テントの中にサングラスを忘れてきたことに気付き、すぐ戻ったけれども、もうサングラスはなく、周囲を探したけれど見つからなかった。時間にしてほんの数分だから、どこかに行ってしまうはずはないと思ったので、その場に居た係のボランティアの人に尋ねてみたが、忘れ物としても届いていないという。忘れた自分が悪いとは思うものの、たった数分の間でなぜに…
その時、ボランティアの人が、
「ごめんなさいね、見つからなくて」
と声をかけてくれたと言う。
別にボランティアの人の責任でもなんでもないのだけれども、その言葉を聞いて、「まあ仕方ないな」って友人も諦めがついたと言っていた。
ちょっとした言葉ひとつで、人の心は癒されるものだ。
寛容な気持ちとは、そんなやりとりから生まれるものなのだろうね。