「つくづく、日本ってすごい国だ、と思ったわけよ」
旅先から戻って来た友人の開口一番の言葉だった。
それは海外から羽田に到着して、自宅に帰る時に起こった出来事。
荷物がたくさんあったので旦那さんに車で羽田に迎えに来てもらい、やれやれと自宅でくつろいだ瞬間、
「「大事なものだけ」を入れていた小バッグがない!」
ことに気付いた。
現金はお財布の中には確か数千円くらいしか入っていなかったはずだが、免許証とかカードとか…お金の事よりも、紛失した後の面倒が頭をよぎる。
その時、小バッグにiPadを入れていたことに気付き、そのiPadの位置を確認。すると、それは確かにまだ、羽田空港の中にある!
「やっぱり、荷物積み下ろししている時に、このバッグだけ空港に忘れてしまったのだ」
とわかり、翌日の朝一番に、羽田空港に連絡をしてみると、確かに忘れ物として届いていると言う。
「なんという幸運!」
すぐに取りに行きます、と言おうと思ったものの、免許証は小バッグの中だから車は運転できないし、電車で行くには結構時間もかかるし…と思っていると、
「着払いでいいのであれば、ご自宅にお送りしますよ」
と言ってくれたので、一発返事で、
「お願いします!」
そして着払いで届いたパッケージ。
開けてみると、バッグの中身がひとつづつ丁寧にプチプチで梱包され、お財布は中身が出されていて、お財布本体もプチプチ包装。中身の現金は別に封筒に入れられて、「7200円」と書かれてきっちり入っていたそうだ。
「なんという丁寧なこの取扱い!」
着払いの支払い金額を差し引いても、当初覚えていた「数千円くらい」からは大幅に増額?して戻ってきた現金に、もう大感激だったという。
「これが外国なら、確実に現金は盗まれているだろうし、こんな風に戻って来るなんてありえないからね」
こういう日本人の誠実なところ、丁寧すぎるくらいに丁寧に対応するところは、素晴らしいし誇らしい。日本に来る外国の方も、そんな場面に触れることで、また日本に来たい!、と思うのだろう。
日本は、素晴らしいもの、素晴らしいこと、そしてステキな日本人で溢れている。これを、ただ単に、
「いい人、いい国、ありがとう!」
に終わらせるのではない「なにか」を、もう一歩進めて考えることができないだろうか。
そういう、ある意味、ビジネスライクな、ちょっとズルい仕掛けを考えるのが、日本人は案外苦手なのかもしれない。