今回は、世界トップクラスのカレー専門チェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」をはじめ、飲食チェーンを運営する「株式会社壱番屋」について紹介していきます!
株式会社壱番屋 経営企画室 広報課 河村様にお話を伺いました。
喫茶店から始まったココイチのあゆみ
STOCKPOINT(以下SP):株式会社壱番屋様の主力業態であるココイチについて、これまでのあゆみを教えてください。
株式会社壱番屋 経営企画室 広報課 河村様(以下河村様):1974年に創業者夫妻が開業した喫茶店のカレーが、ココイチの原点です。愛知県名古屋市内で2店舗に増やし繁盛店となりましたが、より売り上げを上げようと出前サービスを始めました。そのメニューとして妻・直美が家で作っていたレシピをベースに開発したカレーを導入したところ大好評となり、1978年にカレー専門店「カレーハウスCoCo壱番屋」を開店しました。
創業者は、ココイチ1号店を開店した際、すでにフランチャイズ化による多店舗展開を考えており、翌年の1979年にはチェーン本部を立ち上げました。1981年には「ブルームシステム」という独自ののれん分け制度を発足し、1988年に100店舗出店を達成。当時は、独立希望者を集めるため認知度の向上を図ろうと全国への出店を急いでおり、1994年に47都道府県、300店舗出店を達成しました。
苦戦することもあったココイチの海外進出
SP:1994年ハワイに出店されましたね。
河村様:創業者夫妻がハワイを訪れた際に「素晴らしい場所だ」と感銘を受け、店舗があれば研修を兼ねて従業員を招待できるだとうと福利厚生の一環としてハワイに出店しました。
現在でも、店舗で働くスタッフの技能資格制度「ココスペシャリスト」(ココスペ)で1級を取るとハワイ旅行の特典があります。
SP:続けて2004年の中国1号店となる「カレーハウスCoCo壱番屋」上海中山公園店をオープン(上海市)されました。
河村様:当時の社長(現会長)と、既にカレーレストランを上海に出店していたハウス食品の社長が新幹線で偶然会い、意気投合したことから合弁事業としてカレーレストランチェーンの展開を決めました。
中国進出時は、現社長の葛原(くずはら)が、中国事業の責任者として中国に渡り、当時の社長(現会長)から現地で調達できるカレーソースの原材料だけをもらい、自らの手で海外用のカレーソースのレシピを開発しました。中国のファミリーレストランのような内外装で、日本と同じメニュー構成で提供していたのですが、日本式のカレーになじみのない中国の方には、なかなか食べにきていただくことができませんでした。
考えた末、2号店はトレンドに敏感な女性に行きたいと思っていただけるような内外装にし、見映えが華やかなメニューを投入しました。海外のココイチで人気の高い「オムカレー」はこの時に誕生したのです。
また、カレーにはまだ挑戦できないという方にも一緒にご来店いただけるように、スパゲッティなどのメニューも追加しました。女性やカップルのお客様にご来店いただけるようになり、2号店は人気店に。これを海外展開の基本パッケージに、その後、2005年には台湾、2007年には韓国へと進出して、現在はカレーの本場インドも含めて12の国と地域で展開しています。
SP:国や地域によってカレーの味を調整されていますか?
河村様:基本的に調整はしていません。日本のカレーをお届けすることがココイチの使命と考え、国によって味の調整をするということはしていませんが、食習慣の違いはあるので、食肉由来の原材料を使用せず日本のココイチに近い味を再現しています。現地で好まれる食材を乗せたメニューもありますが、ローカライズするのは現地にココイチが馴染んでから検討し、まずは日本のカレーレストランとして海外進出することを信条にしています。
SP:どのように海外進出先を決定していますか?
河村様:企業理念やココイチの想いを分かっていただけるパートナー様が見つかることが第一条件で、形は違いますが日本のフランチャイズ展開と同じ考え方です。
日本の独立希望社員は、壱番屋もしくは既に独立されているフランチャイズのオーナー様の会社に入社し、企業理念や店舗運営、経営のノウハウを学んでいただいた後、独立していただくというルールがあります。
海外店舗のオーナー希望者様とは何度も面談を重ね、互いに信頼関係を築いていけると判断できたときに出店していただいています。店舗数や出店国数を見て出店するわけではないため国内・海外のフランチャイズ店に関しても大きなトラブルがありません。
ハワイカラカウア店(1号店※当時)
山田裕貴さんを起用したCMについて
SP:アンバサダーの山田裕貴さん起用した理由や、広告の見どころを教えてください。
河村様:山田さんが中学生のころよりココイチのファンでいてくださったことが理由です。
壱番屋では「壱番屋長期ビジョン2030」の中で、「わくわく」する気持ちでチャレンジを続け、会社も個人も成長していこうと取り組んでいます。ココイチでは今期から新しいブランドスローガン「毎日にカレーを!」を制定し、お客様に新しいこと・面白いことに挑戦しているねと思っていただけるようなブランドを目指しています。こうしたココイチの活動を広く世の中に発信するため、本当に好きでいてくださる山田裕貴さんにアンバサダーをお願いし、プロモーションを一緒に行っていただきました。
今期制作したCMは、新しいカレーとの出会いと普遍的なおいしさの対比を表現するために山田さんと、先輩社員役の眼鏡太郎(がんきょうたろう)さんにご出演いただきました。
眼さんは定番の味、山田さんは新しい味にチャレンジするという構成で、お2人のコミカルな掛け合いはもちろんのこと、カレーが魅力的に見える角度としずる感にもこだわりました。皆さんにカレーが美味しそうに見えていると嬉しいです。
ココイチの新規メニュー開発
SP:たくさんの新商品を発表されていますね。コンセプトやこだわりを教えてください。
河村様:幅広いお客様にカレーを楽しんでいただくため様々な挑戦をしています。今では定番になっているココイチ流のスープカレーやスパイスカレーも、お客様にカレーを楽しんでいただく形の一つとして開発しました。
メニュー開発は商品開発部が担っていますが、昨年話題になった「ホロ肉ドカンと豪快カレー」は、部署横断のプロジェクトで若手メンバーからのボトムアップで誕生したカレーです。これまでは国内1,200店舗に導入することを前提として商品開発をしていましたが、その前提を取り払い、お客様も、お店の人も、自分たち本部もワクワク出来るメニューを考えました。
ただ、期間限定メニューにも注力していますが、基本となるのはもちろんグランドメニューです。創業以来、お客様に合わせた「マイカレー」を提案し続けてカレーの種類、辛さ、ライスの量、トッピングの選択肢を増やしてきました。
カレーの辛さは、今まで10辛が上限でしたが、もっと辛くしたいというお客様のご要望にお応えし、昨年6月に15辛、9月に20辛が増えました。今では、12億通り以上のマイカレーの組み合わせをお楽しみいただけます。
創業者は、喫茶店時代からお客様の顔と好みを覚えて対応するなど、真心の接客を大事にしてきました。その思いを引き継ぎ、一人ひとりの好みにお応えしたいと様々な選択肢をご提供しています。
他社様とのコラボ商品も大変ご好評をいただいております。基本的には、コラボ先の企業様に開発いただき、味の監修をするという形でコラボをさせていただいています。
監修の際には、ココイチのカレーの味だね、とお客様に感じていただけることを大切にしています。
最近は食品売り場だけでなく、それ以外の業界とのコラボも多く、アパレル用品やガチャガチャの景品、キャンプ用のレトルトカレーなど、幅広くコラボをさせていただいていて、ココイチの店頭以外で、お客様との接点を持ってブランドを広め、価値を高めていけるように積極的に取り組んでいます。
株式会社壱番屋の今後の展望
SP:今、会社として一番力を入れているサービス、今後伸ばしたいサービスはどちらですか?
河村様:主力業態の「カレーハウス CoCo壱番屋」は、これまでの良さを残しつつ、新しい挑戦と発信を強化しています。またココイチに行きたいと思っていただくため、店頭キャンペーンの実施と期間限定メニューの投入頻度を上げ、いつもワクワクする店舗を目指しています。
出店して年月が経つと道や周辺環境が変わることがあるため、お客様の利便性向上のためのリロケーション、ドライブスルーやデジタルツールの導入にも引き続き注力します。
また、M&Aに力を入れており。2020年12月にはジンギスカン専門店の大黒屋、昨年の3月にはつけ麺店を京都・大阪で展開している麺屋 たけ井、12月には福岡の博多もつ鍋 前田屋を子会社化しました。
壱番屋が大切にしていることと、先方が大切にしていることにお互い共感し、協業することで、双方にメリットがあることを条件にしています。各社、多店舗展開やフランチャイズ化、海外展開などを考えており、我々のノウハウを生かせることが決め手となりました。
ココイチ以外の業態でもチャレンジをしながら成長し、お客様に食の楽しさを提供することを目指しています。
株式会社壱番屋の株主向け施策
SP:個人株主向けの施策はありますか?
河村様:当社の個人株主様は、ココイチのファンで店舗をご利用いただく方が多いため、食事券を優待品として贈呈しています。優待券はレトルトカレーやギフトセットにも変更可能なので、近くに店舗がない方も、おうちにあるものをトッピングして楽しんでいただけると嬉しいです。また、株主様向けにココイチレポート(中間報告書)を発送し、壱番屋の最新情報をお届けしています。
SP:最後に御社のファンの皆さまに向けてメッセージをお願いします。
河村様:「毎日にカレーを」をスローガンにこれからもワクワク楽しく満足いただけるカレーチェーンを目指しています。ココイチだけではなく、ほかの業態も頑張っていますので、お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください。
世界中に愛されるカレーを提供する株式会社壱番屋。これからの活躍にも期待しています!
ライター:Ogama Yuka